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自律神経失調症とは
自律神経は、脳の視床下部にある「交感神経」と「副交感神経」から構成され、呼吸・消化・体温調節など、人間が無意識に行う生命活動をコントロールしています。
自律神経失調症とは、これらの神経のバランスが崩れることで、心身にさまざまな不調が現れる状態を指します。
明確な精神症状がない場合に診断されることが多い
自律神経失調症には明確な診断基準がなく、検査で身体的な異常が見つからず、かつ明確な精神疾患が認められない場合に診断されることが多いです。
一部では、「新起立試験」と呼ばれる自律神経の働きを調べる検査を用いて診断を行うこともあります。
多系統萎縮症の症状やうつ病など違いを正しく見分ける必要がある
パーキンソン病やレビー小体型認知症などの身体疾患、またはうつ病・不安障害といった精神疾患でも、自律神経の乱れによる症状が見られることがあります。
そのため、自己判断で「自律神経失調症」と決めつけるのではなく、他の病気の可能性も含めた専門的な診断が重要です。
正しい見極めと治療のためには、専門医の受診をおすすめします。
自律神経失調症の原因
自律神経のバランスが崩れる原因には、主に次のような要因が関係しています。
原因1. 環境要因によるストレス
仕事や家庭でのプレッシャー、引っ越し・転職などの生活環境の変化、音・気温・日照といった自然環境の変化など、日常的なストレスが自律神経の乱れを引き起こす大きな要因となります。
また、一つの強いストレスではなく、小さなストレスが積み重なることで発症につながることもあります。
このように、些細な環境変化でも自律神経失調症のきっかけになることがあります。
原因2. 不規則で偏った生活習慣
栄養の偏りや睡眠不足、不規則な生活リズムは、体内時計の乱れを引き起こし、自律神経のバランスを崩す原因となります。 特に夜更かしや昼夜逆転の生活を続けている場合、自律神経失調症のリスクが高まります。
原因3. ホルモンバランスの崩れ
特に女性の場合、更年期に女性ホルモン（エストロゲン）の分泌が減少することでホルモンバランスが乱れ、自律神経にも影響を及ぼします。
慢性的な頭痛やめまい、ほてりなどの症状がある場合、更年期障害が関係している可能性もあります。
ホルモンバランスを整えるケアを行うことで、自律神経失調症の予防・改善につながることがあります。
自律神経失調症の症状
自律神経は全身の働きを調整しているため、乱れると精神的な症状と身体的な症状の両方に影響が出ることがあります。
やる気が出ない、憂鬱、不安、焦り、イラつき、落ち込む、意欲喪失など
精神的な症状としては、「興味のあることにもやる気が出ない」「不安感や焦燥感が続く」「イライラしやすい」などがあります。
交感神経が過度に優位になると興奮や不安が強まり、副交感神経が過度に優位になると気分の落ち込みや倦怠感が現れます。
このように、自律神経のバランスが偏ることで感情のコントロールが難しくなります。
倦怠・疲労感、めまい、肩こり、頭痛、息切れ、痺れ、便通の悪化、多汗など
身体的な症状は多岐にわたります。
倦怠感、慢性的な疲れ、めまい、肩こり、頭痛、息切れ、手足のしびれ、便秘や下痢、のどの違和感、発汗異常などが代表的です。
これらは風邪や他の疾患と似た症状も多く、誤って自己判断すると治療が遅れることがあります。
風邪のような症状が続く場合も、早めに医療機関で相談することが大切です。
自律神経失調症を発症しやすい人の特徴
自律神経失調症を発症しやすい人の特徴について説明します。
発症しやすい人の特徴1. ストレスが多い環境にいる人
仕事・学校・家庭など、常に緊張やプレッシャーを感じやすい環境にいる人は、自律神経失調症を発症しやすい傾向があります。
たとえば、職場での人間関係の悩み、部署異動による負担、家族からの強い期待や叱責など、心の休まる時間が少ない環境が続くことで、知らず知らずのうちに自律神経が乱れていきます。
発症しやすい人の特徴2. 不安定な生活習慣をしている人
夜型の生活を送っている人、夜勤が多い人、睡眠時間が不規則な人は、体内リズムが乱れやすくなります。
生活のリズムを整えることは、自律神経を安定させるうえで非常に重要です。
発症しやすい人の特徴3. ストレスへの対処がうまくできない性質の人
「頼まれごとを断れない」「他人の評価を気にしすぎる」「感情を抑え込みやすい」など、ストレスをうまく発散できない人も注意が必要です。
依存心が強い傾向や、人間関係の構築に苦手意識がある場合、自律神経失調症を発症しやすいと言われています。
自律神経失調症セルフチェック
- 手足が冷えて眠れない日が多い
- めまいや立ちくらみが続く
- 常に不安や憂うつな気分になってしまう
- 慢性的な疲労感や倦怠感が続いてしまう
- 便秘や下痢を繰り返してしまう
- 仕事や家事などやるべきことについていけない
2つ以上当てはまり、2週間以上続いている場合や、生活に支障を感じる場合は、自律神経失調症の可能性があります。